「独立したら保険料の通知を見て青ざめた」は「あるある」です
フリーランスになった月、または副業収入が増えて「そろそろ独立も…」と考え始めたとき、多くの人が最初に直面するのが国民健康保険料(以下、国保)の高さです。
会社員時代は給与から自動的に天引きされていたため、実際の金額をほとんど意識していなかった方も少なくありません。しかし独立後に届く通知書を見て、「こんなに払うの?」と驚くのは珍しいことではありません。
この記事では、フリーランス・副業の方が知っておくべき国保の仕組み、2026年度の年収別目安金額、そして保険料を抑える方法をわかりやすく解説します。
※ 本記事の内容は2026年度(令和8年度)の制度・料率に基づく参考情報です。保険料は自治体によって異なります。個別の判断についてはお住まいの自治体窓口または社会保険労務士にご相談ください。
会社員とフリーランスで何が根本的に違うのか
会社員の場合
会社員は「健康保険組合」または「協会けんぽ」に加入しています。保険料は会社と折半で負担するため、実際の保険料のうち半分は会社が支払っています。さらに給与から天引きされるため、多くの人が金額を意識しないまま過ごしています。
フリーランスの場合
フリーランス(自営業者)が加入するのは国民健康保険です。会社員との最大の違いは以下の2点です。
- 全額自己負担:会社による折半がなく、保険料をすべて自分で支払う
- 自治体によって金額が異なる:国保の保険料は市区町村ごとに計算方法が異なるため、同じ年収でも住む場所によって金額が変わる
副業会社員の場合
会社員のまま副業をしている場合、原則として社会保険料は変わりません。副業収入があっても、会社の健康保険・厚生年金にそのまま加入し続けます。ただし、副業先でも一定の条件(週20時間以上の勤務かつ月額賃金8.8万円以上など)を満たすと、二重加入が必要になるケースがあります。「副業したら保険料が上がる」と誤解している方が多いですが、通常の副業であれば心配不要です。
国民健康保険料の計算の仕組み
国保の保険料は主に2つの要素で構成されています。
所得割(収入に応じた部分)
前年の所得(売上から経費を引いた金額)から基礎控除(43万円)を差し引いた額をもとに計算されます。所得が高いほど保険料も高くなります。なお、社会保険料控除や医療費控除などの「所得控除」は適用されず、確定申告上の課税所得より高い金額が計算の基礎になる点に注意が必要です。
均等割(加入者の人数に応じた部分)
世帯の加入人数に応じて一律にかかる費用です。独身であれば1人分、家族がいれば人数分が加算されます。
2026年度から「子ども・子育て支援金分」が追加に
2026年度(令和8年度)より、従来の医療分・後期高齢者支援金分・介護分に加えて、子ども・子育て支援金分が新たに加算されるようになりました。子育て世帯への支援施策を医療保険全体で支える仕組みで、単身世帯でも年間数千円程度の追加負担が生じます(参考:厚生労働省・子ども家庭庁)。

「前年所得ベース」という落とし穴
重要なのは、国保の保険料は前年の所得をもとに計算されるという点です。
たとえば2025年に会社を辞めてフリーランスになった場合、2026年度の国保保険料は2025年の給与所得(会社員時代の収入)をベースに計算されます。フリーランス初年度の収入が少なくても、前職の給与が高ければ保険料も高くなる、というのが独立初年度の最大の盲点です。
なお、所得の計算には確定申告の数字が基準になります。確定申告が必要かどうかの判断については以下の記事もあわせてご確認ください。

社会保険料の合計目安(国保+国民年金)(2026年度)
以下は2026年度の料率をもとにした概算です。扶養家族なし・単身世帯・39歳以下(介護分なし)を想定しています。実際の保険料は居住する自治体によって異なるため、あくまで目安としてご参照ください。
| 年収(事業所得の目安) | 国保年額(医療+支援+子育て分) | 国民年金(年額) | 合計年額 | 月換算 |
|---|---|---|---|---|
| 年収300万円(所得約200万円) | 約24万円 | 約22万円 | 約46万円 | 約3.8万円 |
| 年収400万円(所得約280万円) | 約33万円 | 約22万円 | 約55万円 | 約4.6万円 |
| 年収500万円(所得約360万円) | 約42万円 | 約22万円 | 約64万円 | 約5.3万円 |
| 年収600万円(所得約440万円) | 約51万円 | 約22万円 | 約73万円 | 約6.1万円 |
| 年収800万円(所得約600万円) | 約61万円 | 約22万円 | 約83万円 | 約6.9万円 |
※ 事業所得は年収から経費を差し引いた金額。経費の多寡によって実際の所得は大きく変わります。
※ 国保には賦課限度額(年間上限額)があります。2026年度は医療分65万円・支援金分24万円・子育て分3万円が上限です。
※ 国民年金は2026年度の保険料(月額17,920円)をもとに年額換算。
※ 40〜64歳の方は介護分(所得割・均等割)が別途加算されます。
※ 出典:東京都保健医療局・各区公式サイト(令和8年度国民健康保険料率)、日本年金機構「国民年金保険料」
会社員時代と比べると、社会保険の負担が月1〜2万円程度増えるケースが多いというのが実感値として参考になるかと思います。
国民年金保険料も忘れずに
フリーランスになると健康保険だけでなく、年金も国民年金に切り替わります。
2026年度(令和8年度)の国民年金保険料は月額17,920円(年額215,040円)です(出典:日本年金機構)。会社員時代は厚生年金として給与天引きされていましたが、フリーランスでは国民年金を自分で支払います。
国保と国民年金を合わせた合計額で考えることが重要です。年収500万円のフリーランスであれば、社会保険料だけで年間64万円、月換算で5万円以上になります。
保険料の負担を減らす方法
青色申告で所得を下げる
国保の保険料は「所得」をベースに計算されます。つまり所得を下げれば保険料も下がります。青色申告を選択し、最大65万円の青色申告特別控除を受けることで、課税所得そのものを圧縮できます。
フリーランスの経費として認められる項目については「副業の経費、何が認められる?」で詳しく解説しています。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用
iDeCoの掛け金は全額所得控除になります。毎月一定額をiDeCoに拠出することで、課税所得が下がり、結果として国保の保険料も下がります。フリーランスの場合、月額最大6万8,000円まで拠出可能です。
小規模企業共済への加入
フリーランス・個人事業主向けの退職金制度です。掛け金が全額所得控除になるため、iDeCoと同様に課税所得の圧縮に使えます。
収入が激減した年は軽減申請を忘れずに
収入が急減した場合、前年所得が基準以下であれば均等割が7割・5割・2割のいずれかに軽減される制度があります。また、倒産・解雇などによる非自発的失業の場合は給与所得を30%とみなして計算する特別軽減もあります。いずれも自動適用されないケースがあるため、お住まいの自治体窓口に確認することをおすすめします。
なお、フリーランスの請求書や源泉徴収の実務については「フリーランスの請求書に源泉徴収税はいくら引かれる?」で詳しく解説しています。

まとめ
- フリーランスの国保は全額自己負担で、自治体によって金額が異なる
- 2026年度から子ども・子育て支援金分が国保に加算された
- 保険料は前年所得をベースに計算されるため、独立初年度は特に注意が必要
- 国保と国民年金を合わせると、年収500万円で月5万円超の社会保険料になるケースもある
- 青色申告・iDeCo・小規模企業共済・軽減申請などを組み合わせることで、合法的に保険料を抑えられる
免責事項
本記事は、2026年度(令和8年度)の制度・料率に基づく一般的な参考情報を提供することを目的としています。保険料の計算方法や料率は自治体によって異なる場合があります。記載している数値はあくまで概算・目安であり、個人の状況によって異なります。社会保険に関する具体的な判断については、社会保険労務士またはお住まいの自治体窓口にご相談ください。また、制度は毎年改正される可能性があります。最新情報は厚生労働省および日本年金機構の公式サイト、またはお住まいの市区町村の公式サイトをご確認ください。



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