確定申告の書類を調べていると、必ず「青色申告」という言葉が出てきます。「なんとなく節税になるらしい」とは聞いていても、白色申告との違いや具体的な手続きまでは把握していない方が多いのではないでしょうか。
この記事では、フリーランス・副業の方が青色申告を選ぶべき理由と65万円控除の条件、手続き方法を国税庁の公式情報をもとにわかりやすく解説します。
本記事の内容は2025年分(令和7年分)の確定申告および現行制度(令和8年度)に基づく参考情報です。税制は毎年改正される可能性があります。個別の判断については税理士または税務署にご相談ください。
青色申告と白色申告、何が違うのか
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。最大の違いは節税効果です。
| 項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 特別控除 | 最大65万円(条件あり) | なし |
| 記帳方法 | 複式簿記(65万円・55万円控除)または簡易帳簿(10万円控除) | 簡易帳簿 |
| 赤字の繰越 | 3年間繰り越せる | できない |
| 家族への給与 | 全額経費にできる(青色事業専従者給与) | 上限あり |
| 事前手続き | 青色申告承認申請書の提出が必要 | 不要 |
白色申告は手続きがシンプルな一方、節税メリットがほとんどありません。事業所得や雑所得がある方であれば、青色申告を選ぶ方が税負担を大きく下げられます。
青色申告の最大のメリット「特別控除」とは
青色申告特別控除とは、確定申告で青色申告を選択した事業者が、一定の条件を満たすことで所得から一定額を差し引ける制度です。(出典:国税庁タックスアンサー No.2072)
青色申告特別控除(65万円・55万円)の対象となるのは 「事業所得」または「不動産所得」がある方に限られます。 副業収入が「雑所得」に区分される場合は、 最大10万円の控除のみ適用されます。 自分の収入が事業所得・雑所得のどちらに該当するかは、「副業収入が20万円を超えたら確定申告が必要?」 もあわせてご確認ください。
控除額は条件に応じて3段階に分かれています。
| 控除額 | 主な条件 |
|---|---|
| 65万円 | 複式簿記での記帳 + e-Taxで電子申告(または優良な電子帳簿保存) |
| 55万円 | 複式簿記での記帳 + 期限内に申告書・貸借対照表・損益計算書を提出 |
| 10万円 | 上記以外の青色申告者 |
この控除は所得税だけでなく、住民税・国民健康保険料の計算にも影響します。たとえば事業所得が300万円の場合、65万円控除を受けると課税対象となる所得が235万円まで下がります。所得税率や国保の所得割にそのまま影響するため、節税効果は非常に大きいです。
2027年分からの制度変更に注意
2025年12月に閣議決定された令和8年度税制改正大綱において、青色申告特別控除の見直しが予定されています。適用されるのは2027年(令和9年)分の所得からです。
| 申告方法 | 現行(令和8年分まで) | 変更後(令和9年分以後・予定) |
|---|---|---|
| e-Tax + 優良な電子帳簿保存 | 65万円 | 75万円(増額) |
| e-Taxのみ | 65万円 | 65万円(変更なし) |
| 書面申告 | 55万円 | 10万円(大幅減額) |
書面(紙)で申告を続けている方は、2027年分から控除額が55万円から10万円に大幅に下がる可能性があります。e-Taxへの移行を早めに検討することをおすすめします。
※ この改正は現時点では税制改正大綱の段階です。国会での審議を経て最終的に確定します。最新情報は国税庁公式サイトでご確認ください。
65万円控除を受けるための3つの条件
現行(令和8年分まで)の65万円控除を受けるには、以下の3つをすべて満たす必要があります。(出典:国税庁タックスアンサー No.2072)

条件① 青色申告の事前承認を受けている
青色申告をするには、事前に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。提出期限は以下の通りです。
- すでに事業を行っている方:その年の3月15日まで
- 新たに事業を開始した方:開業日から2ヶ月以内
この申請書を提出していないと、いくら帳簿を整えてもその年は青色申告として認められません。開業届と同時に提出しておくのが最も確実です。
条件② 複式簿記で記帳している
65万円(および55万円)控除を受けるには、日々の取引を複式簿記で記帳する必要があります。複式簿記とは、1つの取引を「借方・貸方」の2面で記録する方法です。
「複式簿記は難しそう」と感じる方も多いですが、現在はfreee・マネーフォワードクラウドなどの会計ソフトを使えば、取引を入力するだけで自動的に複式簿記の帳簿が作成されます。簿記の知識がなくても対応できます。
条件③ e-Taxで電子申告している
複式簿記での記帳に加えて、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使って電子申告することで65万円控除が受けられます。紙の申告書を郵送・持参した場合は65万円ではなく55万円控除になります。
e-Taxの利用にはマイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダー)が必要です。事前に準備しておきましょう。
青色申告の手続きの流れ
ステップ1:青色申告承認申請書を提出する
税務署の窓口・郵送・e-Taxのいずれかで提出します。書類は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
ステップ2:日々の取引を帳簿に記録する
会計ソフトを使い、売上・経費・振込などの取引をその都度入力します。領収書やインボイスは7年間の保存義務があります。
ステップ3:青色申告決算書を作成する
1年間の帳簿をもとに、損益計算書と貸借対照表(65万円・55万円控除の場合)を作成します。会計ソフトを使っていれば自動で作成されます。
ステップ4:確定申告書をe-Taxで提出する
確定申告の期間(翌年2月16日〜3月15日)に、青色申告決算書と確定申告書をe-Taxで提出します。期限を1日でも過ぎると65万円・55万円控除が受けられなくなるため注意が必要です。
なお、確定申告が必要かどうかの判断基準については以下の記事で詳しく解説しています。

青色申告で国民健康保険料も下がる
青色申告特別控除は、所得税・住民税の節税だけでなく、国民健康保険料の軽減にも効果があります。
フリーランスの国保は前年の所得をベースに計算されます。青色申告で65万円控除を受けると、国保の計算基礎となる所得が65万円下がるため、保険料も連動して下がります。
国保の仕組みと年収別の目安については以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ
- 青色申告を選ぶことで、白色申告にはない最大65万円の特別控除が受けられる
- 65万円控除の条件は「青色申告の事前承認」「複式簿記での記帳」「e-Taxでの電子申告」の3つ
- 控除は所得税・住民税・国民健康保険料すべてに影響するため節税効果が大きい
- 2027年分から書面申告の控除額が55万円から10万円に下がる予定のため、e-Taxへの移行を早めに検討する
- 会計ソフトを使えば複式簿記の知識がなくても対応できる
免責事項
本記事は、2025年分(令和7年分)の確定申告および現行制度(令和8年度)に基づく一般的な参考情報を提供することを目的としています。税制は毎年改正される可能性があります。記載している内容は概算・目安であり、個人の状況によって異なる場合があります。税務上の具体的な判断や申告手続きについては、税理士または最寄りの税務署にご相談ください。最新情報は国税庁ウェブサイトをご確認ください。


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